病院の領収書・診療明細書は捨ててもいい?保管しておきたい理由を医療事務が解説

医療事務

病院を受診すると、会計のときに「領収書」と「診療明細書」を受け取ります。

そのまま財布やファイルに入れているものの、「これっていつまで取っておけばいいんだろう」「もう捨てても大丈夫?」と迷う方もいるのではないでしょうか。

領収書は、支払った医療費を確認するための大切な書類です。また、診療明細書には、どのような検査や処置が行われたのかなど、診療内容を確認できる情報が記載されています。

私自身、医療事務として会計窓口に座っていると、領収書の再発行や保管について質問を受けることがあります。

この記事では、病院でもらう領収書と診療明細書の違い、すぐに捨てない方がよい理由、なくした場合の対応や保管期間の目安について、患者さん向けに分かりやすくまとめます。

🩺この記事で分かること
  • 領収書は医療費控除などで必要になることがあるため、すぐ捨てない方が安心
  • 診療明細書は受けた検査や処置などを確認するために役立つ
  • 領収書をなくした場合の対応は医療機関によって異なるが、手間やお金がかかる場合も
  • 保管期間は医療費控除に使うかどうかで考え方が変わる

病院でもらう領収書と診療明細書の違い

病院の会計でもらう「領収書」と「診療明細書」は、似ているようで役割が違います。

領収書は、医療機関にいくら支払ったのかを確認・証明するための書類です。初・再診料、検査、画像診断、投薬など、診療報酬の区分ごとの金額が記載されています。厚生労働省も、保険医療機関が交付する領収証について、診療報酬の各区分ごとに金額の内訳が分かる形式を示しています。

一方、診療明細書には、その日の診療でどのような項目が算定されたのかが、より細かく記載されています。検査や処置、薬剤など、個別の診療報酬の算定項目を確認できる書類です。

簡単に分けると、

  • 領収書:いくら支払ったかを見るもの・証明するもの
  • 診療明細書:何に対して医療費がかかったのかを見るもの

と考えると分かりやすいです。

私が会計窓口で患者さんに説明するときも、「金額を確認するなら領収書、診療内容を細かく確認するなら明細書」とお伝えしています。

どちらも会計時にもらう書類なのでまとめて保管しがちですが、それぞれ用途が異なるため、すぐに捨てずに取っておくと後から確認するときに役立ちます。

病院の領収書はすぐ捨てない方がいい

病院でもらった領収書は、会計が終わったからといってすぐに捨てず、しばらく保管しておくことをおすすめします。

理由のひとつが、医療費控除で必要になる可能性があるためです。

現在、医療費控除を受ける際に領収書そのものを確定申告書へ添付する必要はありません。しかし、領収書をもとに「医療費控除の明細書」を作成した場合は、確定申告期限等から5年間、領収書を自宅などで保存する必要があります。税務署から提示や提出を求められることがあるためです。

また、受診した時点では医療費控除をする予定がなくても、年間を通して医療費が増え、後から申告を検討することもあります。

そのため私は、「もう使わないだろう」とその都度捨てるのではなく、少なくともその年の医療費がある程度分かるまではまとめて保管しておくと安心です。

特に家族分の医療費もまとめて確認したい場合は、病院や薬局でもらった領収書を同じ場所に保管しておくと、後から整理しやすくなります。

次の章では、医療費控除と領収書の関係をもう少し詳しく説明していきます。

医療費控除で必要になることがある

病院や薬局でもらった領収書は、医療費控除を受けるときに必要になることがあります。

現在の医療費控除では、確定申告の際に領収書そのものを添付するのではなく、「医療費控除の明細書」を作成して提出します。

領収書をもとに明細書を作成した場合、提出後すぐに領収書を捨ててよいわけではありません。国税庁では、明細書の内容を確認するために税務署から提示や提出を求められることがあるため、確定申告期限等から5年間保存する必要があるとしています。

一方、健康保険組合などから届く「医療費通知(医療費のお知らせ)」を利用できる場合は、扱いが少し異なります。

必要な項目がそろった医療費通知を確定申告に利用した場合、その通知に記載されている医療費については、領収書の保存が不要になる場合があります。

ただし、医療費通知に載っていない受診分や、記載内容を領収書を見ながら補って申告した分などは、領収書を5年間保存する必要があります。

そのため、「医療費のお知らせが届くから領収書は全部捨てても大丈夫」と考えるのではなく、その年の確定申告が必要になるか、医療費通知だけで内容を確認できるかが分かるまでは保管しておくと安心です。

診療明細書から分かること

診療明細書には、その日の診療でどのような診療報酬の項目が算定されたのかが、領収書より細かく記載されています。

厚生労働省の記載例では、「基本料」「在宅」「処方」「検査」「画像診断」などの区分ごとに、具体的な項目名・点数・回数が記載されています。薬剤や特定保険医療材料についても、名称が分かる形で記載されることがあります。

そのため、診療明細書を見ると、

  • どのような検査や処置が行われたのか
  • どの項目に診療報酬が算定されているのか
  • 同じ日に複数の検査や処置があった場合、その内訳

などを確認できます。

会計金額を見て「前回より高いけれど、何が違ったんだろう」と思ったときにも、領収書と診療明細書を見比べることで、金額の違いを確認する手がかりになります。

ただし、診療明細書に書かれている名称は診療報酬上の正式な項目名なので、患者さんにとっては分かりにくいものもあります。

気になる項目がある場合は、受診した医療機関の窓口に質問してみるのをオススメします。

領収書が「いくら支払ったか」を確認・証明する書類なのに対し、診療明細書は「その日の診療で何が算定されたのか」を確認するための書類と考えると分かりやすいです。

領収書をなくした場合はどうなる?

ただし、領収書を再発行してもらえるかどうかは医療機関によって対応が異なります。再発行はせず、代わりに「支払証明書」などを発行している場合もあります。

私の勤務先でも、医療費を受領したことを証明する「受領証明書」を有料で発行するシステムになっています。

基本的には証明書として扱われるため、「領収書の再発行は行っていません」と案内している医療機関も少なくありません。

医療費控除については、一定の条件を満たす「医療費通知(医療費のお知らせ)」を利用できる場合、その通知に記載されている医療費については、領収書の保存が不要になることがあります。

領収書をなくしてしまった場合は、まず受診した医療機関に相談し、どのような対応ができるか確認してみるのがおすすめです。

どのくらい保管しておけばいい?

領収書の保管期間は、医療費控除に使うかどうかで考えると分かりやすいです。

医療費控除を受ける予定がなくても、年の途中では年間の医療費がどのくらいになるか分からないため、少なくともその年の分はまとめて保管しておくと安心です。

医療費控除の明細書を領収書をもとに作成して確定申告をした場合は、国税庁の案内では確定申告期限等から5年間、領収書を保存する必要があります。 税務署から内容確認のために提示や提出を求められる場合があるためです。

一方、一定の要件を満たした「医療費通知」を利用した部分については、領収書の保存が不要になる場合もあります。

診療明細書については、医療費控除のために一律で「○年間保管しなければならない」という書類ではありません。ただ、後から診療内容や会計の内訳を確認したくなることもあるため、迷う場合は領収書と一緒に保管しておくとよいでしょう。

わが家のように家族分の受診が増えてくると、病院や薬局でもらった書類を年ごとにまとめておくだけでも、後から確認しやすくなります。

まとめ|迷ったらしばらく保管しておこう

病院でもらう領収書と診療明細書は、それぞれ役割の異なる書類です。

領収書は支払った医療費を確認・証明するための書類で、医療費控除などで必要になることがあります。一方、診療明細書では、その日にどのような検査や処置などが算定されたのかを確認できます。

「もう使わないかな」と思っても、年の途中では医療費控除を利用するか分からないこともあります。迷った場合は、少なくともその年の分はまとめて保管しておくと安心です。

また、領収書をなくした場合、必ず同じものを再発行してもらえるとは限りません。医療機関によっては、代わりに有料の証明書を発行する対応になることもあります。

会計時には通常そのまま受け取れる領収書でも、なくしてしまうと、本来かからなかった手間や費用が発生する可能性があります。

医療事務として働いている立場からも、受け取った領収書はすぐに捨てず、できるだけなくさないよう保管しておくことをおすすめします。

コメント

タイトルとURLをコピーしました